ジョン・スミスのまともな投資日記

「普通の人」ジョン・スミスが、「そこそこ儲ける」ための方法を試行錯誤する日記です。

【研究】中小証券メモ―東洋証券、立花証券、安藤証券、エース証券、アイザワ証券、極東証券

スミスのこれまでの印象では、IPO狙いの人が口座を増やしていく場合、だいたいこういう順番になると思われます。③~⑤あたりはけっこうダンゴ状態のような気もしますが…。

①SBI証券、マネックス証券、大和証券、SMBC日興証券
②カブドットコム証券、岡三オンライン証券、野村證券
③松井証券、東海東京証券、みずほ証券、楽天証券、ライブスター証券
④三菱UFJモルガンスタンレー証券、岩井コスモ証券
⑤いちよし証券、むさし証券、岡三証券、丸三証券、HS証券
⑥東洋証券、立花証券、安藤証券
⑦エース証券、アイザワ証券、極東証券
⑧その他地場証券など(水戸証券、あかつき証券…)
番外 GMOクリック証券、DMM.com証券

 

参考↓

news.biglobe.ne.jp

 今回は、スミスのようなIPOマニアが最後に手を出すことを考える、⑥⑦の証券会社について、IPOの配分履歴と、口座数をまとめました。これらの中堅・中小証券のほとんどは、口座数を公表していません。しかし、証券会社は「業務及び財産の状況に関する説明書」を日本証券業協会に提出していますので、そこからデータを取り出して推計することにしました。データは原則2018年3月末のものです*1。なお、⑦の証券会社はネットからはIPOに参加できません。

東洋証券

顧客分別金信託額 18531(百万円)
債券の保護預かり残高 50837(百万円)
従業員数 711人
口座数 20.6万 残あり口座 13.6万(66%)
2017年のIPO取扱件数 20件 うち配分50枚以上 9件
個人割当の10%を抽選、抽選の下限枚数は無し。

 IPOとは関係ありませんが中国株にやたらと強いです。HPでも前面に推しています。ネット口座も開設可能で、ネットからIPOに申し込むこともできることがあります。
 IPOに関しては、稀に主幹事になります。ただ、原則としてネットからの申込みはできません。2017年1月のS級IPO「シャノン」で主幹事になり、ネットの申込番号は3000程度だったようです。
 この証券会社について気になるのは、以下の記述。

新規公開株の個人のお客さま(*)への配分は、配分の機会を公平に提供するため、原則として一定割合について抽選により配分先を決定いたします。
(*)個人のお客さま・・・対面営業店舗に口座をお持ちの個人および法人(機関投資家等を除く)を対象とします。インターネット取引での取扱いは原則行っておりません。

 この記述を額面通りに読むと、「配分の機会を公平に提供する」対象は、「対面営業店舗に口座をお持ちの個人および法人」であるということになります。主幹事や大型案件ではネットから申し込みできることがありますが、ネット口座と店頭口座の抽選確率が公平とは限りません。後に触れる安藤証券のように、ネットからの当選数を制限して「公平に」抽選している証券会社もあります。東洋証券の気持ちになってみると、ネットからIPOだけに申し込んでいる人間にはできるだけIPOを回したくないというのが本心でしょうから、ネット申込可能な場合でも、当選確率は店頭口座よりも低くなっている可能性があります。

 

立花証券

顧客分別金信託額 55394(百万円)
債券の保護預かり残高 3564(百万円)
従業員数 507人
口座数 不明(10万くらいか?) 残あり口座 不明
2017年のIPO取扱件数 4件 うち配分50枚以上 0件
個人割当の100%を抽選。

 この証券会社はシストレか何かに活用されているらしく、債券の保護預かり残高に比して顧客分別金信託額が異様に多いです。アクティブトレーダーが生息していることをうかがわせます。ちなみライブスター証券にも同じ傾向があります。少し特殊ですので、口座数の推計は断念しています。
 立花証券には、店頭口座、ストックハウス口座(ネット口座)、e支店口座(シストレ向きネット口座)があります。e支店は、買方信用金利が1.6%かつ取引手数料無料という、SMBC日興証券(金利2.50%、手数料無料)も東海東京証券(金利0.90%、手数料普通)もむさし証券(金利1.35%、手数料低め)も真っ青の手数料体系です。ただし、現引・現渡と、売り玉を権利日をまたいで持ち越した時の名義書換料がかかりますので、使い方次第というところでしょう。
 IPOについては原則店頭のみですが、ストックハウス口座からも申し込めることが少なくありません。取扱数も割当枚数も非常に少ないですが、現在、IPO目的でここに証券会社を持っている人は非常に少ないと思われます。最近は幹事に入っていませんが、かつての日本郵政のように、超大型案件では幹事になってねらい目証券となるかもしれません。

 

安藤証券

顧客分別金信託額 10701(百万円)
債券の保護預かり残高 120076(百万円)
従業員数 277人
口座数 5万(推計) 残あり口座 3.5万(推計)
2017年のIPO取扱件数 10件 うち配分50枚以上 0件
個人割当の100%を抽選。

 店頭口座、コール口座、ネット口座の3種類が開設可能です。
 安藤証券は、IPOの配分方針について以下のように宣言しています。

 対面営業またはコールセンターのお客様の合計抽選参加株数に対して、インターネット取引のお客様の合計抽選参加株数を当社の営業政策上の観点から調整させていただくため、インターネット取引のお客様共通の番号を当社が定める数だけ割り振った上で、当社全体で抽選を行います
 当社全体での抽選により、インターネット取引のお客様共通番号に係る当選株数が確定しますので、その後に、抽選に参加したインターネット取引のお客様の間で抽選を行います。
 以上より、インターネット取引のお客様からの抽選参加株数と対面営業またはコールセンターのお客様の抽選参加株数の動向によっては、インターネット取引のお客様の方が当選しにくい場合があることにご注意ください。

 このようにはっきりと書いてくれているのは大変ありがたいです。ネットからの申込みは、会社全体とネット口座の二段階で抽選が行われることになるため、よほど不人気の銘柄でない限り、ほぼ間違いなく店頭口座より当選確率が低くなるでしょう。
 なお、日本証券業協会が発表している「新規公開に際して行う株券の個人顧客への配分状況」によると、安藤証券はなんと100%を「規則に基づく抽選」で行ったことになっています。この二段階抽選は「規則に基づく抽選」として扱われているようです。
 また、安藤証券は幹事になることは少なく、委託幹事が多いです。 しかも委託幹事になるかどうかは「申し込み後」に判明します。安藤証券はすべてのIPOに申し込めますが、幹事の場合を除き、割当がある保証はありません。ここでIPOに申し込んでいる人はどれくらいいるんでしょうか? 皆目見当がつきません。

 

エース証券

顧客分別金信託額 5900(百万円)
債券の保護預かり残高 21707(百万円)
従業員数 337人
口座数 8万(推計) 残あり口座 5.6万(推計)
2017年のIPO取扱件数 37件 うち配分50枚以上 21件
個人割当の10%を抽選、抽選の下限枚数は無し。

 エース証券は時代に逆行(?)するかのように、ネット取引をやめて対面取引のみに軸を絞ってきています。店頭口座とコール口座がありますが、店頭口座からのみIPOの申込み可能です。申込みは担当者を通して行うことになります。IPOの取り扱い件数は比較的多く、配分量もそれなりにあることが多いです。関西が地盤で、店舗数は少ないです。

 

アイザワ証券

顧客分別金信託額 17950(百万円)
債券の保護預かり残高 20620(百万円)
従業員数 641人
口座数 24万 残あり口座 16.8万(推計)※子会社の日本アジア証券を含む
2017年のIPO取扱件数 10件 うち配分50枚以上 3件
個人割当の10%を抽選、50枚未満で抽選なし。

 アイザワ証券は店頭口座、コール口座、ネット口座があり、店頭口座ではすべてのIPOに申込み可能です。その場合、申込みは担当者を通して行うことになります。ネット口座(ブルートレード)およびコール口座(アイザワプラス)からの申込みについては以下のように書かれています。

需要申告及び配分の申込みは、営業部店において受け付けいたします。また、ブルートレード口座およびアイザワプラス口座をお持ちのお客様が配分対象となる事案においては当社ホームページ(※)でも受け付けいたします。

 ネット口座と店頭口座に当選確率の差があるのかのかどうかは不明です。特に記述がないのでおそらく同一条件で抽選すると思われますが、安藤証券と同様の抽選が行われている可能性も否定はできません。四国を除く関東以西にそれなりの店舗網を持ちます。

 

極東証券

顧客分別金信託額 10319(百万円)
債券の保護預かり残高 139000(百万円)
従業員数 219人
口座数 3.3万(推計) 残あり口座 2.3万
2017年のIPO取扱件数 23件 うち配分50枚以上 14件
個人割当の10%を抽選、50枚未満で抽選なし。

 店頭口座のみが開設可能です。三大都市圏にのみ店舗があります。
 口座数は少ないのですが、債券の保護預かり残高が中小証券のなかでは一桁多いです。会社資料にもあるように、ここはシニア・富裕層をターゲットにしているので、若年層・貧乏人にはかなりハードルが高いです。IPO狙いの客には配分しないことを実質的に表明してくれています。

なお、当社は、お客さまとの直接対話を基本としたコンサルティング営業を行っておりますので、新たにお取引口座を開設されるお客さまについては、投資に関する情報並びに適合性の原則等を総合的に判断し、需要申告又は配分の申込みをお断りすることがあります。 

 IPO取扱数は比較的多いです。配分枚数も多い方です。ただし50枚未満では抽選が行われません。

  

むすびに

 最後にひとこと。対面証券にとって、IPOだけが目的の顧客ははっきり言って迷惑な存在であると思われます。大手証券では大抵は紳士的に対応してくれるとしても、中小証券の場合、露骨に嫌がられることも多いです。IPOだけを目的に口座をつくる場合、万人におすすめできるのは①~⑤と東洋証券のネット口座までだと思います。ただ、これら中小証券では、特に大型案件でねらい目として浮上してくる可能性があるのも確かです。


 このまとめが、皆様の考えの一助になれば幸いです。
 今回はこれくらいで。それでは、また。

                               J. S.

*1:あくまで推計ですので、最大で3~5倍程度の誤差がある可能性はあります。さすがに10倍の誤差とかはないはずです。